2023.11
本島にあるクラフトビール工場「久福ブルーイング本島」。
始まりはSNACKの本島での活動で繋がった縁でした。
ひょんとビール工場にぴったりな物件が見つかり、今ではキープレイヤーとして本島の盛り上げ役に。そんな久福さんの物件探し、リノベーション工事の設計から内装デザインまで、SNACKが担当・連携し行いました。
今回は、久福ができるまでの道のりを高木社長、そして建築士の関谷さんに取材しました!
本島で夫婦が営むクラフトビール工場。
「この瞬間にしか造れない特別なビールをお客様へ」をモットーに、季節や気候が移り変わる中でその時に作れる最善の味を求め、酵母無濾過・自然発泡のビールを製造している。
公式HP | https://kyu-fuku.com/ |
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インスタグラム | https://www.instagram.com/kyufuku_brewing_honjima/ |
住所 | 〒763-0223 香川県丸亀市本島町泊704-2 |
久福の久保田さんご夫妻とはどのように出会ったんですか?
(高木社長)
2018年にHonjima Stand を立ち上げて、僕(高木社長)が一人で回している時に入ってくれたスタッフの知り合いが久福の久保田夫妻で、ふたりで遊びに来てくれたのが始まりです。
初めて会った日に宏平さん(旦那さん)から「クラフトビールの醸造場を作りたい」という話を聞いていました。
それから宏平さんは本業の方がお忙しくて接点が限られていたんですが、真凡さん(奥さん)がHonjima Stand でイベントがある時にお手伝いに来てくれたり、SNACKでもライターとして一緒に仕事をしていたので、僕たちと関係が続いていました。
一緒に仕事をする中で近況を聞いていると、宏平さんの御祖父母が生前使っていた家で醸造所を作ろうと決心して「醸造所やります!」って周りの人にも報告した最中、最終、ご家族とのお話で「やっぱりこの建物は時期尚早かな…」と振り出しに戻ったみたいなんです。
それで、半分冗談で前に本島でやったら面白いよね、みたいなことも話していたので借りられそうなところ、可能性のありそうな物件を回ってみましょうか、ということで島内で動き始めました。
本島で、という話は少し出ていたんですね。
(高木社長)
半分ノリではあったんですけど、一方で結構真面目に、一緒にできたら面白いだろうなと思っていました。
離島でやるって大変だけど、その分瀬戸内っていうキーワードをかなり強く打ち出せるし、オリジナリティがあって面白いものができるんじゃないかって。
とはいえ、都会みたいにちょうどいい物件がポンっと出てくるわけではないし、醸造所となると特別な設備が必要なので、それに合致する物件でないといけなかったのですが。
わたしも以前久福さんに伺いましたが、あの大きな機械が入るスペースと高さが必要になりますよね。あの場所はどのように見つけたのですか?
(高木社長)
ご夫婦と島を一周して、最後に行ったのが今の久福がある旧「酒田商店」でした。
そこも別に最初から何か繋がりがあったわけではなく、ただ「あの辺の立地めっちゃいいし、聞けそうなツテもあるから聞いてみましょうか」で聞いてみたら、「ちょうど建物の扱いを悩んでました」って(笑)
そこからじっくりお話をしたら、トントン拍子に話がまとまっていきました。
順風満帆って感じですね!
(高木社長)
物件がこんなにスムーズに決まったのは、久保田さん達が初めてでした。
どれだけ空き家があったとしても、決まらない時は本当に決まらなくて。タイミングが良かったのもありますが、久保田夫妻の人柄がよりスムーズにしたと思います。
でも大変だったこともあって・・・
宏平さんはサラリーマンを続けながら新規事業に挑戦、さらに製造業となると初期費用がかなりかかります。
さらに、酒類製造免許を取るには設備環境が完全に整っていることが必須で、でもそのための融資は新規事業ということでリスクがあるため銀行側がなかなか動けず。
僕も一緒に直談判しに行ったりして、始めは本当に大変でした。
リノベーションは関谷さんが改修工事の設計から入って担当したと思うのですが、そちらでも大変だったことはありましたか?
(関谷さん)
醸造設備は機械の関係上高さが必要になるのですが、本当にギリギリでした。
屋根が少しでも低かったらあの物件ではできなかったですね。
また、建物は築80年ほど、しかも海際にあるので傷みが今まで改修してきた中でトップクラスでした。外壁はこのままいける、と思っていたら工事を続けていくと柱がスカスカで結局改修が必要になったりして・・・
「低コスト」を重点に置きながら工務店さんと相談して、本当に予算ギリギリで頑張りました。
2階の居住スペースは、予算内では手を入れることができなかったので、久保田夫妻に少しずつ整えてもらっています。
店舗の部分は、酒田商店の昔ながらの建物の良さを残したくて、残せるところはほぼ残してお客さんが元のお店の雰囲気を感じられるようにしました。
予算内で、手を入れるべきところは入れつつ前のお店の雰囲気を残し、製造用のスペースも確保する。想像するだけでも難しいことですね。
改修工事設計から携わったからこそ実現できたことなのではないでしょうか。
リノベーションを通して、建物に久福の新しい風を入れつつ馴染みのある風景を無くなさずに「残していく」のは、一層あの場所でやる意味を持たせてくれる気がします。
(関谷さん)
そうですね。
前オーナーさんは「(場所を活用してくれるのが)あなたたちだったら大丈夫」と言ってあのお二人に建物をおまかせしてくれたんです。
なので、今回のリノベーションを見て前オーナーさんも喜んでくれたし、久福さんにとってもしっくりくる空間になったと思います。
久福さんは、「人で繋がっている」という印象がすごくあって、実は解体の時も久保田夫妻の意向でワークショップ形式にしていろんな人を巻き込んで楽しむ形にして行ったんです。大変なところもコンテンツにしちゃおう!というお二人らしさが素晴らしいなと思いました。
今でも瓶詰めはお手伝いさんを募集して行っていたり、久福にはいつも誰かが関わり続けています。
(高木社長)
関谷さんは設備とか基本計画とか、工事まわりをバチっとやってくれたので、内装は僕が入ってオペレーションの壁打ち相手になりながら決めていきました。
運営時の状況と動きを考えてデザインすることが本来の設計業務なので、一旦ここまでやり切れてよかったなと思っています。
いや〜いい仕事したよね。もっと日の目を見て欲しい!
久福さんとSNACKと本島、これからの関わりについて何か考えていることはありますか?
(高木社長)
今、一次産業から本島全体を盛り上げるような活動も行っているので、本島さかな部と一緒にキープレイヤーとして本島のコンテンツをつくっていこうとしています。
ビールってアウトドアと相性が良いので、サウナテントを建ててみたりアウトドアコンテンツで一緒に盛り上げられないだろうかと、一緒に試行錯誤もしてみていますよ。
最後に!久福さんのビールは好きですか?
(高木社長)
Honjima Stand で売っているくらいなので、もちろん!
でもそれは本島でつくっているからというだけではなくて、久保田夫妻の価値観にとても共感できるからでもあります。
久福のビールは発酵食品なので、使う素材と作る時期によって、その時にしかできない味わいが作られる」という考えのもと、敢えて味を一律に調整はせず、自然に生まれる味を楽しんでもらうスタイルです。
瀬戸内の果実などを使用しながら飲みやすく仕上げたビールがあったり、スーパーなどでもよく見かけるラガーとは違うスタイルにも挑戦していて、いわゆる工業的なビールとは全く違います。
そこが本島の離島の感じとうまく混ざりあっていて、本島を「飲んで体験できる」感覚がすごく良いんですよね〜。
人が繋がっていく久福さん。
そんな「久福(久保田夫妻)の魅力」と「本島らしさ」を、SNACKは関わり・仕事を通じて結びつけられたのではないでしょうか。
手に取った時にしか味わうことができない久福ブルーイング本島のビールを飲んで、本島をご体験ください!
久福さんのインスタグラムでは瓶詰作業お手伝いさんを随時募集しているので、お近くの方はぜひそちらもご確認ください。
☆インスタグラム :https://www.instagram.com/kyufuku_brewing_honjima/
この記事を書いた人
Hana Yamazaki
神奈川県在住の新入りスタッフ。
SNACKのお手伝いをしながら香川県の魅力を県外から深掘りしていきます。
本島のトリコ。